« 曽我梅林あたりまで | トップページ | TAKURO LIVE 1979のCDの話 »

2015年2月25日 (水)

電車で女性に怒られたこと

通勤電車じゃ座らないぜ! と宣言してから長い月日が流れ、つり革手すりに頼
ることなく立ってバランスを保ちながら本を読んで通勤しているうちに踏ん張る
力が身についてきました。

2月24日、その日僕は午後からの細かい作業で目をヤラレてしまったため、いつ
もより早めの17:40頃に会社を出て帰宅の途に着いたのでした。

新宿から小田急線急行に乗るときも、列に並んで座って帰るようなことはしませ
ん。いつも通り先発の電車に乗り込みます。車内は出発時刻に近かったため、す
でにつり革もいっぱいで掴まるところがありません(いつものことです)。この
先の混雑を予想して通路の奥、ドアとドアの通路の中間点付近にスタンディング
ポジションを固定し本を読みはじめました。今読んでいるのは「働くアリに幸せ
を」という進化生物学者が書いた本です。アリは人間と同様に社会性を持った生
き物で集団で・・・本の内容は今回の事件とは無関係なので先へ進みます。

急行電車は新宿を出発すると5分ほどで代々木上原駅に到着します。ここで地下
鉄千代田線が連絡しており、大手町方面からの帰宅客がドッと乗り込んできます。
新宿からの乗車率が倍になるくらいです。
この時の電車はタイミング悪く2本分の千代田線の乗客が乗り換えてきて満員と
なり、ドアとドアの中間点にいる僕の両側も左右から人が詰まってきて隣の人と
常に触れ合う状態でした。

次は3分ほどで下北沢です。駅に停車するための減速時に事件は起こりました。
減速時は進行方向に力が加わるため僕の左側から人の圧力がかかり始めます。隣
の女性も掴まるところが無いようで体重の半分以上をこちらにかけてきています。
ホーム停止前が一番きつくなるところです。最後は右足一本徳俵にかけて強烈な
押しをしのぎ雪崩れるのを食い止め駅に停車。こらえ切れたことは普段の訓練の
たまものじゃと満足感に浸りホッと一息ついて体勢を戻すべく左に押しました。
と、そのとき左側(僕に圧力を加えてきていた方)の女性から声がかかったので
す。

「もっと奥に詰めろよ!」(なに?何?、これが会社勤めしている社会人の見ず
知らずの人に話しかける言葉か?)といきなり怒られました。もっと奥?僕はド
アとドア通路の真ん中の一番奥に初めからいるのですが。

「右側もいっぱいですよ。」(紳士風~)と答えると、女性は私が詫びることを
期待していたのか態度を急速に台風並みに悪化させて吐いたセリフ。

「ジジイのくせに満員電車の乗り方くらい知らないのかよ!。だったら降りろよ
!」(ウ~ム、最大瞬間風速70mくらいか?、停車時の押しよりも強烈。)

理解不能でした。
満員電車の乗り方とは体勢が崩れた時に相手に体重をかけて我が身を守ることな
のか?
そういうことができないなら電車に乗る資格が無く降りなければいけないのか?
女性が雪崩れてきているのを必死に食い止めたというのに?
その当人から鬼のように怒られ、降りろと命令されるとは!!
”ジジイ”は事実かもしれないので仕方ないとしても。

女性と口で争っても勝てないのは世の常と遠藤周作氏の本で読んだような気がし
たので、僕は反論したいところをグッとこらえました(精神的にはよろしくない
ですが社会的にはよろしい?)。幸い駅で電車を降りる人がいて右にわずかな空
間ができたので僕はスッと身を引くことができました。

僕が体と言葉を引いたおかげでそのあと二人の関係は発展することなくこの件は
それで終了となりました。ほんの10秒くらいのことでした。

もし電車内に行司がいてこの件を裁くとすれば、間違いなく徳俵でふんばった僕
に軍配があがったでしょう。よしんば女性びいきの行司で女性に軍配をあげたと
しても、土俵下の5人の審判は黙って見逃すことなくサッと物言いの手が上がり、
協議の結果は全員一致で行司差違えで僕の勝ちとなるはず。
僕は手刀を切って懸賞金の束をわしづかみにして颯爽と花道を引き揚げ、途中多
くのファンからは肩をぽんぽん叩かれて「良く堪えたぞー!!」「いいぞーしい
たけー!」と熱い声援を浴びていたはずです。
さらに重圧に耐えた僕の踏ん張りとお客様同士のトラブルによる電車遅延という
間抜けな理由の電車遅れを未然に防いだ僕の対応は「敢闘賞」「技能賞」候補に
ダブルノミネートされていたことでしょう。

現代の都会の女性は見ず知らずの人に向かってこれくらいの啖呵をスラッと吐け
ないと生きていけないのでしょうか。それとも彼女は厳しい逆境の中で生活して
いるうちに身についてしまったものなのでしょうか。そうさせてしまった社会に
問題があるのか・・・。深く考えさせられたのでした。

僕としては助けた相手から罵られたという感覚なので、彼女から放たれた言葉は
たった二言だけでしたがココロに突き刺さったまま傷だらけで帰宅したのでした。
今でもその言葉が刺さったままのようで、時々チクチクとココロが痛み、そのた
びにあの時の情景が甦ってくるのです。行司さえいてくれたら・・・。


吉田拓郎 「流星」より

 たとえば僕が まちがっていても
 正直だった 悲しさが あるから・・・流れていく

 静けさにまさる 強さは無くて
 言葉の中では 何を 待てばいい・・・流れていく

| |

« 曽我梅林あたりまで | トップページ | TAKURO LIVE 1979のCDの話 »

コメント

人前で罵倒されるなんて大変な目にあいましたね。
私はそういう混雑の電車に乗るのはもう無理な暮らしなので懐かしく読みました。
件の女性からすると両方向から押された形になって素のままの性格が表に出たのかと思います。
その方がしいたけさんの位置なら多分押してくる方に向かって「押すなよ!」と言うのでしょう。
壁に向かっては言っても詮無いですからね。
たまたま日ごろ鍛えた屈強なしいたけさんだったのが災難でした。


投稿: クロタマ | 2015年2月26日 (木) 07時59分

クロタマさん、こんばんは。
人生の先輩に書き込んでいただいてうれしい限りです。
この件について一人でいつまでもグチグチと心の中にしまいこんでしまっては精神衛生上よろしくありません。お酒で憂さ晴らしもきない僕はブログ上で発散させていただきました。
文章を組み立てていくうちに当事者から第三者的な立場でこの件を考えられるようになったことは一つの発見でした。
後は自転車で走ればいつの間にかココロの中から揮発していくでしょう。

投稿: しいたけ | 2015年2月26日 (木) 21時58分

ごめんなさいね‥。
女のうちの一人として私から謝らせてもらいます。

どうなのかしら‥お怒りになった彼女の言い分もあるのでしょうが、思ったり感じたりしたことを言えばいいということではないですよね。満員電車に乗るのにも、お作法はあるのだろうし、みんなが我慢しているのでしょうから。

しいたけさんが反論せず身も引いたこと、これがいちばんの正解で賢い選択だったろうと思います。
こんな女は「相手にしない」のがよろしいのです。

投稿: ソフィ | 2015年2月27日 (金) 14時25分

ソフィさん、ありがとうございます。
もうだいぶ回復しました。もうしばらくすれば笑い話で人に話せるようになりそうです。
売り言葉に買い言葉といいますが、今回のようなトラブルの場合でも言い争ったらお互いにヒートアップしてしまうものでしょう。
男同士であれば愚かにも力対力で暴力沙汰に発展したりしますが男対女の場合は難しいですね。女性側が口達者な場合は男性側は力で対抗(それは最低な男)するわけにもいかず、非が無かったとしても引くのが最良なのですね。

投稿: しいたけ | 2015年2月27日 (金) 23時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 電車で女性に怒られたこと:

« 曽我梅林あたりまで | トップページ | TAKURO LIVE 1979のCDの話 »