木星の撮影時間を決める
以前の記事で
「木星は10時間弱で自転しているので、たった1時間で36度以上自転します。
シャッタースピード15msで4000枚撮影した場合の撮影時間は60秒ですがその間に木星は0.6度も自転することになります。
1回の撮影時間をあまり長くすると木星の自転により横方向にボケることになります。」
というようなことを書ていましたが6月3日の撮影データで確認してみました。
まず、地球から見た時の木星面の経度はどのように見えているのかを木星師匠たちが使っているWinJUPOSというソフトで表示させてみます。
6月3日の画像で経度、緯度線は30度間隔です。
木星表面の半分が見えていることになりますが実際よく見えるのは子午線を挟んで東西120度、赤道を挟んで南北120度です。
木星の自転は1時間で約36度ですから子午線の西30度から東30度まで自転するのに100分です。
赤道上でこの間の画像サイズを計測すると178ピクセル。子午線上赤道直下が一番動きが大きいわけですが、平均的に動くとみなして計算すると僕の環境では60秒間撮影すると開始と終了で1.78ピクセル、つまり2ピクセルにまたがって写る計算になります。
では実際どうなのかが下の写真。
シャッタースピードは12.5ms、gain230共通でフレーム数を変えて撮影し同じ条件でスタック(60%)、ウェーブレット処理しています。
ぱっと見フレーム数の多い画像はなめらかで、少ないとノイズが残ってざらつく感じですが、ここではクッキリさを比較します。
木星面上の特定の模様①②に着目して比較しました。
①は赤道の北の濃い縞あたりから左下に向かって青黒い帯がたなびいている部分
撮影時間が短くなるにつれ先端が細くシャープに見えるような気がします。
②は白く楕円の白斑
5000フレームは横に延びて見えます。僕には3000フレーム(37.5秒)が一番いい感じに見えます。計算上1ピクセル動くのに33.7秒かかるので37.5秒は良い露出時間だったと思われます。
2500フレームはもっと移動量が少ないのですがスタック枚数が少なくノイズに負けてしまっています。
結論として、気流の良くないときは撮影時間を60秒とかにしても影響ないですが、本当に良く見えているときは35秒から40秒程度で抑えた方が良い結果になりそうです。
以下妄想です。
欲を言えば4000フレームのなめらかさで3000フレームのクッキリさが欲しいです。
33.7秒で4000枚撮影するにはシャッタースピードを8.4msに速めれば可能です。
しかし1枚当たりの光量が減るためgainを上げなければいけません。
gainを上げるとノイズが増えるのでシャッタースピードを速めて時間内の撮影枚数を増やして・・
しかし1枚当たりの光量が減るためgainを上げて・・
となるとノイズが増えるのでシャッタースピードを速めて・・。
無限ループです。
同じシャッタースピードで光量を稼ぐには
①現在の拡大率を下げて単位面積当たりの光量を増やす
意外と良い案かも。光量は増え1ピクセル移動する時間も長くなるので枚数が稼げます。
でもせっかく解像度の高いカメラにした意味が・・
②望遠鏡の口径を大きくすればよいのです。
これは禁じ手
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